エロというかなんというか下ネタ。男女だけど
年齢制限というほどだろうかでも微妙、ということでこっちに。本編知らずに読めます。正直このキャラじゃなくて良いくらいです。
あ、ええっとちなみに雑誌設定ですね。和広たぶん26歳。
一応男女ですが男男要素あります。いやジョーク的にですが。
扉という扉に錠が下ろされているなんて知ったら出たくなるのが人情である。こんな不気味な城で、逃げ出すなというに等しいことをされたわけだから、それはじっとしてなんかいられない。かくして自室を抜け出してみたわけだが、さてどっちへ進めば良いやらさっぱりわからない。おまけに段々眠くなってきた。
で、たどり着いた部屋のベッドでそのまま横になってしまったというのが現在のシチュエーション。明らかに俺はこの状況を知っている。そう、ドラキュラ城のジョナサン・ハーカーだ。夢か。しかし、ということは。
「私のものよ」
「いえ私の」
「まさか、私のよ」
おいでなすった。三人の妖女。俺は半分目覚めているが生憎と体は思うように動かない。覗き込んだ三人の顔を見てぎょっとした。
一番若い、白いナイトドレスの女は芽衣子だ。
ショートカットで透けたような素材の黒いドレスは柏木。
そして胸の開いた濃紺のドレスの女は、なんと静乃さんではないか。
元カノ三人に責め立てられる夢なんてちょっと勘弁して欲しい。
芽衣子がシャツのボタンをはずし柏木がスラックスの前に手を入れる間に、静乃が俺の顎を取ってキスをする。
「んん……」
芽衣子が乳首を吸い柏木は股間のものを舐め始めた。さらに後方にまで舌を這わせてあろうことか指まで入れてくる。
「ん、ふ……」
俺はまったく抵抗できないまま三人の思い通りになるしかない。ついに柏木がまたがろうとしたとき。
「お前たち、なにをしている」
なんと原作通り、ドラキュラ伯爵のお出ましだ。
「その男は私のものだ。とっとと去れ」
原作通りとはいえああなんだか不穏なセリフだぞ、と思う間に、三人の女は飛び退いてかき消えてしまった。残ったのはドラキュラ──もとい、
「編集長?」
「そういうことだ樋口。やっと二人きりだな」
がば、と覆いかぶさった編集長はあられもない俺の姿をじっくりと眺めて、それから眼鏡をはずさせた。体勢を落として、ちろりと、すっかり敏感になってしまった乳首を舐める。
「あっ、うそ」
「じっくり楽しませてもらうからな、覚悟しろよ?」
にんまり笑った編集長にぞっとして、がばりと跳ね起きた。
悪寒に震えながらぜえぜえと息をつく。夢だ。夢だ夢だ夢。なんて悪夢。大体なんで編集長なんだよオチが。
「起きたの?」
声をかけられてびくりとそちらを振り向くと、ぼやけた視界の中に博美が立っていた。声からして間違いはないだろう。よくよくあたりを見れば俺の部屋じゃない。状況が把握できなくてきょろきょろしていると、博美は盛大な溜め息をついた。
「信じられない。一緒に飲んでて酔いつぶれるなんて」
「え……あ」
そう言えば、会社帰りにバーに行ったような気もする。それでザルの博美につき合って散々。
「矢野さんが飲ませたんじゃないか」
「だめならだめって言いなさいよ。感謝しなさい。ちゃんと連れて帰ってあげたんだから」
なるほど博美の部屋か。しかも俺はベッドを占領している。良いのかこれ。と思った辺りで異変に気付いた。ワイシャツをすっかりはだけている。おまけにベルトも外れて、スラックスの前が開いてる。俺は混乱して博美を見た。博美はベッドの上に乗ってきて、俺の目の前に銀色の輪っか二つ、ぶら下げた。
「これ、嵌めてね。もう悪戯は始めちゃってるけど」
「て、あの」
「たっぷりつき合ってもらいますからね」
きれいな顔でにまりと笑う。猫みたいな瞳がきらりと光った。
「君、酔ってるよ、ね?」
「だったらどうなのよ?」
冷たい手錠の角で胸許を撫で上げられた。思わずひっと咽が鳴る。叛らうのは恐ろしい。でも叛らわなかったら、なにをされるか、いやそれよりも、翌朝酔いの醒めた博美がちゃんとこのことを憶えているのかどうか……。
究極の選択に迫られたまま、これも夢だったら良いのにと俺は願っていた。